バイクの駐輪場


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クールジャパンを代表する商品ってなんだろう? ソニーのウォークマン? 任天堂のゲーム機? 僕はバイクだと思う。世界のバイク市場を50年以上も断トツリードしてきた「ホンダ」「ヤマハ」「スズキ」「カワサキ」は、海外ではバイクの代名詞になっている。

 「その割に、思ったより街中でバイクを見かけないね」とは、初来日の外国人がしばしば抱く感想。僕もそう思った。だが、自分で乗ってみてわかった。バイクは車以上に、止めておく場所に悩む乗り物なのだ。

 パリでも、車より機動性のあるバイクを愛用する人は多い。専用の無料駐輪場が各地区に設けられているから、どこにでも気軽に乗って出かけられる。しかし東京では、有料無料を問わず、駐輪場自体がほとんど整備されていない。なるべく人の邪魔にならない場所を探して、愛車を止めるしかない。そのうえここ数年は取り締まりが極端に厳しくなり、ライダーは行く先々で、どこに駐輪するか頭を悩ませている。僕だって、悪質な駐車違反は取り締まるべきだと思う。しかし、駐輪場を確保せず取り締まりだけ厳しくして、現状が改善できるだろうか。

 数年前、渋谷区はターミナル駅前などにバイク専用駐輪場をつくった。規模が大きくて料金も安い。バイクも守れるし、通行人も安全だ。こういう場所の確保に乗り出してくれる自治体が増えるのを、みんなが待ち望んでいるに違いない。


Posted at 12:03 午後     Read More  

 電信柱と電線


ElectricPole@Tokyo.16CropW.jpg  多くの外国人は日本と聞くと、いまだにフジヤマ、ゲイシャ、高層ビル、繁華街の鮮やかなネオンサインなどを思い浮かべる。これでいいのか、とはなはだ疑問だが、観光絵はがきくらいしか参考にするものがないと、こういう現実からずれた思い込みが生まれてしまうのだ。

 しかしご存じの通り、日本のマンガやアニメが世界中で親しまれるようになって、日本への理解にも変化が起きているようだ。マンガやアニメには、絶対に絵はがきにはならない日本の日常風景が登場するからだ。学校の校舎の四角い建物、似たようなつくりの一軒家がズラッと並ぶ住宅街、音を立てて上下する踏切、小さな店が軒を連ねる商店街などは、どの作品にも必ず出てくる。そのため、海外のファンは日本に一度も来たことがなくても、かなりリアルな日本を知っている(つもりだ)。

 そんな日本では当たり前の光景の中でも外国人の関心を引くのは、電信柱と電線。柱に取り付けられた変圧器からあちこちに枝分かれして空中を走る電線を、僕は日本に来て初めて目にした。フランスでは電線は地下に埋められていて、普段目にすることはまずない。同じ感想を何人かから聞いたのは、どこにでもあって目につきやすいからだろうか。もし、僕が「日本日常三景」を選ぶとしたら、間違いなくその一つは「電信柱と電線」だ。あとの二つは……まだ考えていない。


Posted at 10:13 午前     Read More  

 広島の千羽鶴


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5月5日、広島平和記念公園にある原爆の子の像は建立50年を迎える。原爆で亡くなった子どもたらのための慰霊碑だ。モデルとなった佐々木禎子さんは2歳で被爆し、10年後、千羽鶴を折りながら亡くなった。僕も子どもの時に、この話を読んだ覚えがある。

先日、その広島に行く機会があった。像の前で写真を撮っていると、自分たちが折った千羽鶴を飾りに京都から来た入たちがいた。像の前で記念撮影をしている彼らに、外国人観光客が声をかけている。千羽鶴の意味を尋ねたらしい。彼らは丁寧に説明し、その後、一緒に記念撮影をしていた。

僕が初めて広島平和記念資料館を見学したのは約20年前。各地で修学旅行中の中高生から片言の英語で、rハロー」「ハウアーユー?」と元気な声で迎えられた。子どもたちには欧米人はみんな英語を話すアメリカ人に見えるんだろうなと、ちょっとおかしかった。

でも、広島で平和記念資料館を見学していた中学生たちは、少し様子が違った。歴史の重さに圧倒されているのだろうか、僕を見るまなざしが冷たい。当時売られていた「I'm not American!(僕はアメリカ人じゃない!)」というTシャツを着たいと思うほどだった。僕が日本人から欧米人に対する警戒感を感じたのは、これが最初で最後。つらい体験だった。

今年ももうすぐこどもの日。世界中の子どもたちが幸せに暮らせますように。


Posted at 09:48 午前     Read More  

 3列乗車



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先週、フランス人のビジネスマンを10人ほど連れて、東京を動き回った。朝から晩まで彼らの業界に関連する店舗や展示場を見学し、日本の最新事情を紹介したのだ。ずっと電車で移動したが、かなり目立つグループだったことだろう。

 初めて東京の電車を体験する彼らは、「なんだ、全然込んでいないじゃないか」とがっかりしていた。東京の電車は超満員で、白い手袋をした駅員が乗客の背中を押しながらドアを無理やりに閉めるというのは、世界的に有名な話だ。それを目の当たりにするのを楽しみにしていたらしい。僕はあえてラッシュアワーを避けて予定を組んだのだが……。

 その彼らが驚いていたのは、電車が到着するまでの間、3列に並んで待つ人々の姿だ。「フランスではあり得ない! どうしてこんなにおとなしく整然と並んでいられるんだ! 並ぶのが好きなのか?」

 僕ら外国人一行はといえば、電車が来るまでホームの真ん中で突っ立ったまま。列の後ろにつくなんてことはしなかった。

 日本人にとって、公共の場で順番を守って並ぶのは当然で、この基本的なマナーを守らない人は非常識と思われる。フランス人にとっては、どういう順番で電車に乗るかなんてどうでも良いから、わざわざ並ぶほどのことではない。同じ「常識」でも、かくも隔たっているわけだ。

 僕としては、並ぶ方がクールと思うのだが。僕が日本人的になったからかしら?


Posted at 09:10 午前     Read More  

 ガソリンスタンド


  来日する欧米人にとって、日本のガソリンスタンドは、日本ならではのきめの細かいサービスを実感させられる場所の一つだ。たとえば、給油している間に窓ガラスや灰皿などを掃除してくれる。給油が終わって車がスタンドから出る時には、お客の車が安全に道路へ戻れるよう、元気な声で車を誘導し、走行中の他の車を一瞬止めてくれる。お客の大半は、おそらく2度と会う機会のない人であるにもかかわらず、だ。

 「お客さんのために一生懸命!」というパフォーマンスがこんな日常的な場面でもみられるなんて、さすが日本だと、みんな感心している。

 周知の通り、欧米のガソリンスタンドはセルフ式がほとんど。運転手が自分で給油しなければいけない。すっかり日本のサービスに慣れた僕は、フランスに帰るたびに、面倒くさいなあ、と感じていた。しかし、最近は日本でも、セルフ式スタンドが大分増えてきたようだ。コスト削減のためか、システムの合理化のためか、原因は分からないが、せっかくの「良いサービス」が少しずつ消えてしまうのはとても残念だ。

 先日、とあるセルフ式スタンドでのこと。仕方がないからしぶしぶ自分で給油したら、支払いの時に面白いものを見た。なんと、スロットマシンだ。同じマークを三つそろえたら、ガソリン1リットル当たりの単価が少々安くなる。遊び心がとても気に入った。サービスマンは消えたけれども、サービス精神はまだ残っている。クール!


Posted at 09:00 午前     Read More  

 都内の温泉


TokyoRotenburoBlurCropW.jpg 年に数回、パリから東京へ出張してくるフランス人の友人がいる。彼はどんなに短い滞在でも必ず、東京のど真ん中にある温泉施設を訪ねる。商談やミーティングの合間を狙って、周囲には「重要な会議があるから」と断り、僕や他の友人を突然携帯で呼び出す。「ねえ、今から一緒にお風呂に入らない?」

 そして2時間ほどサボって大浴場や露天風呂を楽しむわけだ。「ここは僕のオアシスだ。4日間の出張で温泉に足を運ぶのは難しいと思っていたが、東京に温泉ができてからやみつきになった。飛行機に乗っている時から楽しみにしている。どうして欧米人は、こんなクールなリラックスの方法にいまだに気づかないのだろう?」

 彼の夢は、こういう温泉施設を、パリを一望に見渡すのモンパルナス・タワーの高層階に設けることだ。一緒にお風呂に入るたびに、真剣にビジネス・プランについて話し合う。来場者は1日何人、入場料は1人いくら、運営費にどれくらいかかるか……今のところ実現のあてはまったくないから、ただの与太話にすぎないが、話は尽きない。

このように日本の温泉施設に魅了された友人は彼だけではない。長年日本に住んだもう一人の友人は、引退を契機にパリから地方へ引っ越し、広い敷地の隅に五右衛門風呂を設置しようとしている。温泉ではないが、せめて自然を楽しみながらお風呂でボッとしたいようだ。日本の風呂文化、海外でも受けるかも。


Posted at 08:39 午前     Read More  

 ラジオ体操


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  ドキュメンタリー映画製作のため、フランスから来日した監督といっしょに関西に出張中だ。毎日、面白いものを取材している。

 先日はラジオ体操の音楽に合わせて動く小型二足歩行ロボットを撮影した。日本人なら最初の音を聞いただけでピンとくるが、ラジオ体操をもちろん知らないフランスの人々には、これから何が始まるのか予測するのは不可能だ。だから本物のラジオ体操も撮影して、ロボットの映像に合わせて使えればいいと思った。

 幸い宿泊先近くの公園に、冬でも毎朝6時半からラジオ体操をしているグループがいるとのこと。翌朝、撮影スタッフ全員5時起きで公園に向かった。しかし、早朝の公園には、なぜか誰もいない。寒さと、撮れないんじゃないかという不安で震えていると、開始直前になってようやく、運動着姿の中年の方々が十数人現れた。お互いに簡単なあいさつを交わし、すぐに体操が始まる。僕たちはカメラを回し、熱心に体操する姿を追った。

 一日を元気に過ごすための、10分間の体操。何十年も前から毎日、公共放送が決まった時間に音楽を流し、その時間に合わせて、公園などに集まって体操する人たちが全国にいる。フランスでは考えられない光景だ。監督はこの映像を通じて、日本の国民性も直観できる気がするとうなずいていた。僕たちにとっても充実した10分間だった。

 夜型の僕に、5時起きはつらかったが……。


Posted at 08:28 午前     Read More  

 成人式


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 去る14日、渋谷区役所で行われた成人式へ取材に出かけた。会場前では、華やかな振袖やスーツ姿の新成人たちがにぎやかに盛り上がっていて、報道記者の他、外国人観光客も、普段なかなか見られない着物姿の若い女性へレンズを向けていた。

 「成人式」という行事は、欧米には存在しない。昔、僕が18歳で「大人」になった時も、個人的には嬉しかったが、とりたてて行事があったわけではない。当時はなんとも思わなかったが、日本に来て成人式の存在を知った時には、ちょっとうらやましかった。
 それにフランスでは日本のように、新しく選挙権を得た人に、黙っていても「選挙のお知らせ」が届くわけではない。自分で役所に行って投票権の申請をしなければ、選挙権を行使できない。社会的な責任を感じる、とても孤独な作業だ。
 一方、日本では成人の日は全国的な祝日で、自治体をあげて成人式を行う。大人社会への第一歩を不安とともに期待も持って歩み出せそうな気がする。
 この大事な日に会場前では、日本共産党の街頭演説が行われていた。ワーキングプア、格差社会など、若者たちにとっても身近であるはずの社会問題を、新成人に少しでも意識してもらおうとしているのだろう。
 お互いの晴れ姿を写メールで写すのに一生懸命だった新成人の皆さんに、そのメッセージは届いたかしら? 晴れ着を脱いだ明日は大丈夫かしら?

Posted at 10:23 午後     Read More  

 忘年会


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いよいよこの連載も今年の最終回。読者の皆さん、2007年はどんな年でしたか? 良い思い出がいっぱいの年だったことを願っています。忘れてしまいたい年であった方は、忘年会でうまくストレスを発散できたかしら?

 職場の忘年会は、僕が日本に来て初めて知り、かつ感心したことの一つだ。仕事とプライベートをはっきり分ける欧米には、職場での飲み会というのが基本的にない。年末には、社長のスピーチと乾杯で1年を締めくくるパーティーがあることはあるが、本当に簡単なものだ。
 同僚や、場合によっては取引先も交えての忘年会、僕はとても良い習慣だと思う。レストランや居酒屋に集まってお酒を飲みながら1年を振り返る。仕事相手と仕事以外のことも話題にし、より気心が知れる機会。僕も毎年この時期には、いっしょに仕事をしている広告代理店やカメラマンのグループから招かれて、週に何回も飲み歩く。普段の飲み会よりも大人数で集まるから、新しい知り合いができることが多い。この場での出会いが、翌年に結ぶ人脈の最初のステップになることもある。
 いやなことは古い年といっしょに忘れてしまおう、という考え方は気に入っているが、個人的には「忘れる」会より、絶対に「覚えておく」会にしたい。
 それでは、2008年が皆さんにとっていい年になりますように! 来年もまた、紙面でお目にかかりましょう。Bonne annee!

Posted at 10:05 午後     Read More  

 クリスマス


ChristmasTreeHotelB.17-CropW.jpg  ハロウィーンが終わると、お店や街のデコレーションはクリスマス・ムード。四季折々の彩り豊かな日本だが最近は、自然界の季節の移り変わりより、商業施設のシーズン・ディスプレーの方が、時間の流れを正しく感じられる気がする。

 余談だが、今年の紅葉は特に遅かったような。このままでいくと、お正月過ぎに落葉する日も近いのではないかしら? 地球温暖化の影響がここまで来ているのか、気になるところだ。
 さて、クリスマスといえば日本では、友だち同士でのパーティーやカップルで過ごすのが主流。一方、お正月には里帰りをする人も多く、家族で過ごすのが一般的だ。
 フランスではこの逆。クリスマスは家族など内輪で祝い、新年のカウントダウンは友人同士でクラブやレストランへ繰り出すことが多い。
 キリスト教では、生まれたばかりのイエスと母のマリア、父のヨセフが馬小屋で安らぐ光景は、家族を象徴する場面だ。だからクリスマスにツリーを囲んで家族で過ごすのは、本来の意味に沿った過ごし方なのだ。そのため、イブの夜は街がとても静か。イエスを通して家族に思いをはせる日なのだ。初詣でに行って、八百万の神々に家族の無病息災を祈るのと似ている。祝う日は一緒でも、国柄によって過ごし方が変わるのが面白い。
 今回の写真は、僕が思う東京で一番クールなクリスマス・イルミネーション。読者の皆さんへ僕からのプレゼントだ。Joyeux Noel !

Posted at 01:21 午後     Read More  

 新しい入国審査手続き


WantedPoster.19CropW.jpg  日本政府は11月20日、来日する外国人や再入国する在日外国人のほぼすべてから、両手の指紋と顔写真の採取を始めた。「政府インターネットテレビ」では、その手続きをこともあろうに「クールジャパン」のチャンネル紹介している。

 あれ? 来日する人をテロリスト予備軍扱いすることの、どこがクール? 「外国人観光客様は犯罪者様」と言ってるようなものじゃない? 僕のように日本に根付いた在日外国人は、みんなあきれているんですよ! 労働ビザや永住許可を取得した外国人の身元情報は、入国管理局に把握されている。なのにどうして再入国するたびに、いちいち指紋を採られなければならないのか?
 リオネル・デルソーは東京で20年以上暮らすフランス人通訳者だ。ネット上で署名運動を展開したり、ポスターをつくったりして、この制度に警鐘を鳴らしている。
 彼が最も恐れるのは、この差別的で排斥的な扱いもさることながら、これが常識として定着することだ。たとえば、日本人の妻子を持つ外国人男性が空港で再入国手続きをする時、家族なのに別々のラインに並ばざるを得ない。そして、それを子供に、お父さんは外国人だから、君やお母さんとは違って写真と指紋をとられるんだよ、と説明しなければならない。こういうのが当たり前になってしまうことだ。
 日本政府には悪いが、やはりこの制度、クールではない!

Posted at 12:56 午後     Read More  

アイデアで勝負! 


Picture%204.png  先週末、新宿で行われた「世界のCMフェスティバル」へ遊びにいった。世界中の面白いテレビCMを集めてオールナイト上映するこのイベントは、81年にパリで生まれ、今では世界40カ国で楽しまれている。一晩のイベントで紹介するCMは500本に上り、その制作費を合計すると、「タイタニック」のような大作映画をはるかに越えるそうだ。

 今回、日本でもヒットしている男性用ボディースプレーAXEのCMを世界中から集めてきて上映している。エロチックなCMで知られるAXEだが、「日本のは米国などにくらべるとずっとおとなしい」。こう語るのは、?年以来、このフェスティバルの日本版を提供しているフランス人、ジャン・クリスチャン・ブーヴィエだ。
 福岡在住?年の彼に、日本で制作されているCMの特徴を聞いた。
 「低予算でもアイデアで勝負しているCMが特に好き。福岡の若手クリエーターが作ったローカルCMを毎年上映しているが、時にはこういった低予算のCMの方が好評なことがある」
 CMの出来と予算は関係ないという彼の意見に、僕も同意。僕が感激したのは、人間がパワーショベルやクレーンなどの重機を演じる、福岡の建設機材レンタル・販売会社南陽のCMだ。日本と違ってフランスには、地方局というのが存在しないので、地元密着かつ経費節減型のCMにお目にかかることがない。だからよけいに新鮮に感じるのだろう。クールなアイデアに拍手!

Posted at 06:52 午後     Read More  

 手で見る展示


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美術館や博物館でよく見かける、「展示に手を触れないでください」という注意書き。美術品は目で楽しむもの、手で汚してはいけない……。一応納得できるが、じゃあ、目が見えない人はどうしたらいいの? 芸術を楽しめないの? それを意識したのは、京都の龍安寺を初めて訪ねた時だった。

 石庭の静謐な美しさには、もちろん感動した。それ以上に僕が龍安寺で感嘆したのは、「ミニ石庭」だった。実物の25分の1サイズで、石庭の15個の岩の位置、形や大きさ、白砂の帚目までできるかぎり正確に再現してある。目の見えない人が自由に手で触れられるよう用意され、点字の説明パネルも貼られている。本当に優しい工夫で、僕は日本以外の国でこういうのにお目にかかったことはない。
 それから僕は博物館に行くたびに、目の不自由な人向けにどういう配慮があるのかを、まめに調べるようになった。たとえば江戸東京博物館には「手で見る展示コーナー」があり、人力車や建物の模型などが用意されている。でも僕が知っているかぎり、まだまだ視覚障害者に優しい展示施設は少ない。そこで、一つ提案したい。
 美術館、博物館関係者の皆様! 手で見る展示コーナー設置に力を入れ、視覚障害者にとって、もっともっとクールな国にしてください。せっかくミニアチュアや縮小モデル作成の技術を誇る、手先の器用な国なのだから。

Posted at 11:40 午後     Read More  

 夜間工事


  NightWork.11CropW.jpgあの、やかましい夜間工事がクール? 読者の皆さんにどうかしてるんじゃないかと思われるに違いないが、あえて言わせてもらいたい。

 パリ市内の住宅地区では、夜間工事がほとんど行われない。深夜労働に必要な労働力の確保が難しいからだ。そのため、道路工事は日中だけ。ただでさえ渋滞だらけの市街なのに、工事期間中の混雑は本当に大変なものだ。
 そんなパリから来た僕は、初来日の時から日本での夜間工事にはとても感心していた。道幅が狭い上に交通量が多い日本の道路で、もし工事を日中だけにしたら、毎日が高速道路の百キロ渋滞のようになるだろう。
 工事が静かな点もいい。十分うるさいと思われる方も多いと思うが、上には上がいる。上海での出来事だ。滞在中にちょうど宿泊先の近くで夜間工事が行われたのだ。住宅街にもかかわらず、その音たるやフランスの日中工事並み。突然の騒音と振動に跳び起きるほどだった。住民はよく我慢しているものだ。その時、日本の工事現場は苦情が出ないよう、いろいろ工夫していることを本当に実感した。
 低騒音・低振動の機械を使い、発電機すらとても静か。スタッフ同士のやりとりも大声をあげず、物も落とさないよう気を遣っていることが一目で分かる。
 日本の工事に対する不満は一つだけ。電気、ガス、電話の工事をもう少しまとめて計画してほしい。だって、東京はいつもどこかが穴掘り中……。

Posted at 03:26 午後     Read More  

 子どもも一緒



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  8月末に原宿の「スーパーよさこい2007」を見に行った。高知で50年以上の歴史を持つ「よさこい」は、今では札幌や沼津でも楽しまれている。原宿では2001年から。103チーム延べ6000人のメンバーが、鮮やかな衣装を身につけ、元気いっぱいの音楽に合わせて高度な振り付けを披露する様は、僕も観客を辞めて参加したくなったぐらい、楽しく良い雰囲気だった。

 この祭りを見ていて特に感心したのは、それぞれの団体に参加していた幼い子どもたちのこと。2日間で100万人の動員数を数える大勢の観客の前で、小学生や幼稚園児のお坊ちゃんお嬢ちゃんたちが大人と一緒にステージに上り、一人前のメンバーとして一生懸命踊る姿は、とてもクールに見えた。
 フランスならばこういう時、「子どもコーナー」または「子ども専用イベント」などを設けるだろう。「まじめな」大人のコンテストを半人前の子どもなんかに邪魔されたくない。一人前の個をたくましく鍛える社会の発想だ。
 一方、このよさこい祭りでは、世代を交えて参加することによって、幼稚園児まで自然にグループの一人であることにプライドを持ち、社会性や団結心を学ぶ。日本ではこうやって社会や文化を無意識に子どもへ伝えるんだな、と改めて感心した。日本の社会意識形成のこつを垣間見た気分だった。
 みなさん、来年のよさこい祭りにも頑張ってください。

Posted at 02:57 午後     Read More  

 神楽坂の眺望


KagurazakaHighRiseBldg4W.jpg 神楽坂は知る人ぞ知る、フランス人の多く住む街だ。近くに日仏学院やフランス人学校があるので、子どもの通学の便を考えて引っ越してくる人が多いが、それだけが理由ではない。神楽坂には古き良き東京の雰囲気がまだ残っていて、それが外国人を惹きつける。僕もこの街の情緒を「クール!」と感じる一人だ。一歩路地裏に足を延ばすと、昔ながらの木造家屋や石畳の狭い路地。まるでタイムスリップしたかのようだ。癒しの時代と言われる今にぴったりの、とても落ち着いた街。

 ガイドブックで必ず「江戸時代を感じさせてくれる東京唯一の街」など紹介されるのは浅草だ。それに比べて神楽坂は地味な存在だった。しかし最近は、カメラを持った日本人や外国人観光客をよく目にする。この春、テレビドラマ「拝啓、父上様」の舞台になったために、認知度が急に上がったのかもしれない。


 数年前、神楽坂に初めてタワーマンションが建てられた時には、かなりの反対運動が起こった。しかしマンションは結局建設され、今も何件も建設中だ。辛うじて残っている神楽坂の雰囲気がビル群によって潰されるのは時間の問題だ。


 美しい景観が観光資源であることを理解している京都市は、景観地区のビルの高さや屋外広告などを制限して、イメージを守ろうと努力している。それとは逆に、住民の思いを無視し、高層マンションが建ち続ける神楽坂。これ以上、街の雰囲気が破壊されないよう、早めに対策がとられることを願っている。


Posted at 05:00 午後     Read More  

 丁寧なサービス



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 今回はモノではなく、形のない「クール!」な話。まず、先週の出来事を紹介しよう。

 近くパリに渡航予定の日本人の知人から、アパルトマンに電気を引く時にはどんな手続きがいるのかを尋ねられ、彼に代わって民営化されたばかりのフランス電力公社(EDF)に電話をした。長い呼び出し音の後やっとつながったと思ったら、何のあいさつもなく、電話を保留にされた。そしてそのまま、職員同士の私語やキーボードの操作音などを聞かされながら待った。

 きっと他のユーザー対応に忙しいのだろう……。数分たって、忘れられたのかも……と心配になったので、こちらから「Allo?(もしもし?)」と叫んで相手にアピールしたが、相変わらずの無反応。僕は特に辛抱強い質ではないのだが、友人のためにもあきらめたくなかったので、そのまま待ち続けた。

 そうしたら、こういう会話が聞こえた。「しぶといなぁ……なかなか電話を切らないんだよ。こっちから切るしかないなぁ」。すぐに電話は切られた。一言も会話することなく、45分が過ぎていた。

 日本の皆さんには信じられないだろうが、フランス人の友達にこの話をすると、母国の銀行や役所、郵便局、保健所などで似た体験をした、という声があちこちから上がった。しかし、僕は東京で暮らした20年間、窓口の職員から一度もこのような対応をされたことがない。いかに日本のサービス精神が僕ら外国人にとってクールか、わかってもらえる?


Posted at 05:38 午後     Read More  

 日本へのラブレター


 Sabure.web.jpg 表面的な「クール」にとどまらず、日本の本質を評価し、「本命」と思っている外国人もいる。その先駆者の一人が、フランス国立科学研究所の研究員ジャン=フランソワ・サブレ先生。日本の部落問題や教育制度が専門の社会学者だ。

 彼が最近、エッセーの形で自らの日本に対する気持ちをまとめた。『日本、ぼくが愛するその理由は』(七つ森書館)の中でサブレ先生は、1970年代半ばの日本に関する思い出に始まる個人的な出来事を振り返り、日本の人々の懐の深さと優しさをたたえる。
 「永谷のおばあさん」はサブレ先生にとって、日本を象徴する人物だ。先生一家は神楽坂辺りの古い日本家屋で13年暮らした。大家の永谷のおばあさんは「鼻がピンクの白人」一家を暖かく受け入れ、つらかった半生を打ち明け、果ては養子になってほしい、とまでもちかける。一人息子である先生は、その話を断らざるを得なかったのだが……。
 本書は「青い目で見た日本」でもなく、研究者としての日本社会論でもなく、日本とフランスの二つの文化に生きるフランス人の、日本へのラブレターだ。
 先月、再来日したサブレ先生と彼の行きつけの居酒屋で再会し、日本人の性格で一番好きなところを尋ねた。一言、「好奇心」とのこと。「日本人は常に知恵を磨いて、新しいことに挑戦する。この精神がとても好き」。30年前、日本の社会を究めるために来日したサブレ先生が見つけたのは、日本人の心だった。

Posted at 05:38 午後     Read More  

 広告トラック




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先週までは、僕が心から納得した「クールジャパン」を紹介してきたが、今回は異議ありの格好良さ。

 先日、来日した友人と渋谷で待ち合わせ、ぶらぶら街を歩いた。花金の渋谷駅前交差点周辺は、いつものように歩道も車道も大渋滞。信号待ちをしていると突然、彼が歓声をあげた。見ると、赤信号の前に光る広告トラックが3台並んでいる。「いやぁ、すごいインパクトだ! さすが渋谷!」と友人は感激している。

 でもちょっと待って! 確かに印象に残る広告媒体だ。でもここ数年、週末の夕方の渋谷周辺は、広告トラックのせいで渋滞地獄。ただでさえ交通量が多いのに、大型トラックが同時に十数台乱入するため、渋滞がさらに悪化している。

 広告トラックの運転手たちは、すごいドライビングテクニックの持ち主だ。わざとゆっくりゆーっくり走り、絶妙なタイミングに赤信号で止まるという離れ業をやってのける。その結果、信号待ちの人々への広告効果が高まるのに比例して、交通渋滞はさらにひどくなる。

広告トラックの経路を追ったことがあるが、巡回範囲はなんと約2キロ(!)だった。道理で同じトラックを何度も目にするはずである。

 同じ動く広告でも、ラッピングバスは乗客を運んで社会に貢献しているが、広告トラックは交通渋滞と反・省エネで世の中に逆流している。こういう広告が本当にクールかどうか、企業も考えてみればいいのに。


Posted at 04:31 午後     Read More  

 朝の掃除当番


streetcleaning-opt.jpg 店の従業員が開店前、箒を片手に店の前を一生懸命掃いている姿。僕が20年間の東京暮らしで毎朝目撃する、とてもクールな光景だ。掃除がクールだなんて意外でしょう?

 初来日の外国人も長く日本で暮らす外国人もみんな、口をそろえて高く評価するのは、東京の路上の清潔さだ。読者のみなさんもご存じと思うが、外国の路上は汚いことが多い。その理由は国によりさまざまだろうが、フランスでは、街の掃除が民営企業かその街の清掃局に一任されていることが大きい。

 面倒な汚物の処理を他人にやってもらえるこのやり方は、住民にとって一番手間が掛からずありがたい。しかしその結果、住民は自分の店や家の前すら掃除する習慣がない。道路が汚れても、清掃局が来ない限りそのまま知らんぷり。通り掛かる人々は我慢する他ないのが実情だ。

 その正反対の東京の路上。写真の左に写っているビジネススーツ姿のお兄さんは、神楽坂に本社を構える飲食店チェーンの社員だ。毎朝8時から8時半の間、全社員で神楽坂上の交差点周辺を一斉に掃除している。話を聞いたら、社長が街への貢献として社員たちにさせているとのことだ。東京でも自治体の清掃車が夜中に走っているにもかかわらず。

 学校でも掃除当番があるから、子供たちは共同スペースを汚すのはいけないことだと教えられる。こうやって、自然にクールな国民が生まれるわけだ。あとはカラスさえゴミのポリ袋を破かなければ……。


Posted at 04:19 午後     Read More