土曜日 - 3 月 29, 2008
パリのゴスロリファッション
せっかくパリ滞在中なので、噂に聞いていたフランス初のゴスロリ専門店を訪ねた。
都心部のとある店のショーウインドウに、渋谷の街で見かけるような服を着たマネキン人形が立っている。店の名前は「Kawaiko」。間違いなくここだ。「カワイイ」という言葉は、今や日本のポップカルチャーを象徴する万国共通語だ。
中に入ると、服や厚底ブーツ、アクセサリーを始め、J−PopのCDやマンガ、グッズなどが所狭しと並ぶ。服を選んでいる20代の女性が2人。メイクや服装からして明らかに、映画にもなった人気マンガ「NANA」に影響を受けている。
オーナーのコリーヌ・プローゼは、東京のティーンズファッションに憧れて、20年前からちょくちょく日本に来ていたという。昨年6月に店を持ってからは、裏原宿の服装にヒントを得た、彼女自身のブランドも展開しているそうだ。「直輸入の日本ブランドにしか関心がない本格的なファンもいます。でもフランスの日常生活に、日本のゴスロリファッションは過激すぎる。だからフリルやレース飾りを活かしながら、もう少しおとなしいデザインの服を安く提案しています。こうすれば、ごく普通のパリの女子高生も、憧れのスタイルを楽しめるでしょう」。
フランスのファッション界が日本のストリートファッションにインスパイアされる。これまでとは逆だ。これが時代の流れ?
Posted at 01:27 午前
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土曜日 - 3 月 22, 2008
J-Fan

今、フランス出張中。先日は、パリ日本文化会館で行われたマンガとオタクに関する討論会にパネリストとして出席した。批評家の東浩紀さんの著書『動物化するポストモダン??オタクから見た日本社会』の仏語版出版を記念してのものだったが、米国やドイツ、イタリアからも専門家が参加した。日本のサブカルチャー研究は、最近海外でも盛んなのだ。
90年代初頭、僕がオタクを社会現象として取材し始めた頃、オタクは「犯罪者的な存在」(東さんいわく)として扱われていた。しかし、オタクは現在、海外で日本のマンガやアニメ、ゲームなどを楽しむファンから、先輩として尊敬されている。海外では胸を張って「おれはオタクだ」と言う人も多い。こんな展開、当時は誰も予測できなかった。
だが、僕はこの海外ファンのオタク自称にいつも違和感を覚える。オタクというあり方は、日本の教育制度や消費社会、情報社会などによって育まれたものだ。それらを密に体験しなければ、オタクには「なれない」。海外ファンが自称するオタクと日本のオタクは、違う文化背景を持つ似て非なるものだ。このあたりの事情を理解していない人ほど、自分をオタクと言いたがるような気がする。
そこで僕は、海外ファンを「J‐Fan」と名づけようと提案した。「J−Pop」や「J−Fashion」が流行語になったように、この呼び方も定着するとよいのだが……。
Posted at 01:17 午前
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土曜日 - 3 月 15, 2008
ホームのマナー

先週、フランス人のビジネスマンを10人ほど連れて、東京を動き回った。朝から晩まで彼らの業界に関連する店舗や展示場を見学し、日本の最新事情を紹介したのだ。ずっと電車で移動したが、かなり目立つグループだったことだろう。
初めて東京の電車を体験する彼らは、「なんだ、全然込んでいないじゃないか」とがっかりしていた。東京の電車は超満員で、白い手袋をした駅員が乗客の背中を押しながらドアを無理やりに閉めるというのは、世界的に有名な話だ。それを目の当たりにするのを楽しみにしていたらしい。僕はあえてラッシュアワーを避けて予定を組んだのだが……。
その彼らが驚いていたのは、電車が到着するまでの間、3列に並んで待つ人々の姿だ。「フランスではあり得ない! どうしてこんなにおとなしく整然と並んでいられるんだ! 並ぶのが好きなのか?」
僕ら外国人一行はといえば、電車が来るまでホームの真ん中で突っ立ったまま。列の後ろにつくなんてことはしなかった。
日本人にとって、公共の場で順番を守って並ぶのは当然で、この基本的なマナーを守らない人は非常識と思われる。フランス人にとっては、どういう順番で電車に乗るかなんてどうでも良いから、わざわざ並ぶほどのことではない。同じ「常識」でも、かくも隔たっているわけだ。
僕としては、並ぶ方がクールと思うのだが。僕が日本人的になったからかしら?
Posted at 01:10 午前
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土曜日 - 3 月 08, 2008
マグロの競り

スペイン語の観光ガイドブックには、「築地市場、特にマグロの競り見物は、東京観光には欠かせない」と書かれているらしい。先日、そんな情報をゲットしたスペイン人の知人に誘われて、築地へ行ってきた。
久しぶりに来てみると、市場はすっかり様変わりしている。せっかくなので、友人には生の競りを見せたい。そう思って歩いていると、現場の人に「生のマグロを扱う場所は部外者立ち入り禁止だ」と言われ、隣の冷凍もののブロックに案内された。見物人の安全確保など、いろいろな理由があるらしい。
十数年前に取材した時は、外国人はほぼゼロ。しかし今回はロシアや中国、米国からの観光客が大勢いた。そのうえ、観光客のために見学者用通路まで用意されていたのには、さらに驚かされた。どうやら市場を紹介しているのはスペイン語のガイドブックだけではないらしい。
ここで取引されているマグロは、世界中から集まってきている。中にはスペインからのものもある、と友人に教えたら、スペインは現在、乱獲も影響して近海のマグロが減っているため、漁獲高を制限しているのだが……と首をかしげていた。
市場の見学を終え、場外の寿司屋へ行った。注文したのは、当然マグロの刺し身盛り合わせ。今はこうして気軽に味わうことができるけれど、今後、資源保護の声が高まれば、簡単には口に入らなくなってしまうのかもしれない。未来を憂えながら、よく味わって食べた。
Posted at 01:05 午前
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土曜日 - 3 月 01, 2008
ガソリンスタンド
来日する欧米人にとって、日本のガソリンスタンドは、日本ならではのきめの細かいサービスを実感させられる場所の一つだ。たとえば、給油している間に窓ガラスや灰皿などを掃除してくれる。給油が終わって車がスタンドから出る時には、お客の車が安全に道路へ戻れるよう、元気な声で車を誘導し、走行中の他の車を一瞬止めてくれる。お客の大半は、おそらく2度と会う機会のない人であるにもかかわらず、だ。
「お客さんのために一生懸命!」というパフォーマンスがこんな日常的な場面でもみられるなんて、さすが日本だと、みんな感心している。
周知の通り、欧米のガソリンスタンドはセルフ式がほとんど。運転手が自分で給油しなければいけない。すっかり日本のサービスに慣れた僕は、フランスに帰るたびに、面倒くさいなあ、と感じていた。しかし、最近は日本でも、セルフ式スタンドが大分増えてきたようだ。コスト削減のためか、システムの合理化のためか、原因は分からないが、せっかくの「良いサービス」が少しずつ消えてしまうのはとても残念だ。
先日、とあるセルフ式スタンドでのこと。仕方がないからしぶしぶ自分で給油したら、支払いの時に面白いものを見た。なんと、スロットマシンだ。同じマークを三つそろえたら、ガソリン1リットル当たりの単価が少々安くなる。遊び心がとても気に入った。サービスマンは消えたけれども、サービス精神はまだ残っている。クール!
Posted at 01:00 午前
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土曜日 - 2 月 23, 2008
都内の温泉
年に数回、パリから東京へ出張してくるフランス人の友人がいる。彼はどんなに短い滞在でも必ず、東京のど真ん中にある温泉施設を訪ねる。商談やミーティングの合間を狙って、周囲には「重要な会議があるから」と断り、僕や他の友人を突然携帯で呼び出す。「ねえ、今から一緒にお風呂に入らない?」
そして2時間ほどサボって大浴場や露天風呂を楽しむわけだ。「ここは僕のオアシスだ。4日間の出張で温泉に足を運ぶのは難しいと思っていたが、東京に温泉ができてからやみつきになった。飛行機に乗っている時から楽しみにしている。どうして欧米人は、こんなクールなリラックスの方法にいまだに気づかないのだろう?」
彼の夢は、こういう温泉施設を、パリを一望に見渡すのモンパルナス・タワーの高層階に設けることだ。一緒にお風呂に入るたびに、真剣にビジネス・プランについて話し合う。来場者は1日何人、入場料は1人いくら、運営費にどれくらいかかるか……今のところ実現のあてはまったくないから、ただの与太話にすぎないが、話は尽きない。
このように日本の温泉施設に魅了された友人は彼だけではない。長年日本に住んだもう一人の友人は、引退を契機にパリから地方へ引っ越し、広い敷地の隅に五右衛門風呂を設置しようとしている。温泉ではないが、せめて自然を楽しみながらお風呂でボッとしたいようだ。日本の風呂文化、海外でも受けるかも。
Posted at 12:39 午前
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土曜日 - 2 月 16, 2008
回転寿司
回転ずしは、日本語が分からない外国人にとても便利だ。何も言わなくても、目の前で回るお皿をチェックしておいしそうなものに手を延ばせば、おなかが満足するまですしを楽しめる。しかも安い! 皆、最初はサーモン、卵、マグロなど、見た目が無難なネタを選ぶが、慣れてくるといろんな魚に挑戦する。
僕自身も回転ずしが好きで、よく足を運んでいる。先週行った地方の大型回転ずし屋でのこと。食事が済んでお勘定を頼んだら、店員が近づいてきてポケットから携帯端末を出し、さっと空のお皿にかざした。すると、僕たちが食べたいろんな種類、いろんな値段のお皿の合計金額が、あっという間に計算されたのだ。思わず、仕組みを尋ねたところ、お皿の裏にICタグが付いていて、タグリーダーの端末をかざすだけで、どの値段のお皿が何枚重ねられているかを瞬時に計算できるそうだ。クール! 便利!
この時僕は、十数年前に回転ずし屋で数字の暗号化を教えてもらった時のことを思い出していた。「一」は「ピン」、「二」は「リャンコ」、「三」は「ゲタ」など……他のお客さんに金額が分からないよう言い換えるという説明を、心遣いに感動しながら聞いたものだ。
最近は僕をびっくりさせたこの店のように、タグリーダーを導入するところが増えているそうだ。それで業務効率が上がるのは良いことだが、そのためにもし、すし屋のロマンが一つ消えてしまうとしたらちょっと残念……。
Posted at 12:34 午前
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土曜日 - 2 月 09, 2008
ラジオ体操

ドキュメンタリー映画製作のため、フランスから来日した監督といっしょに関西に出張中だ。毎日、面白いものを取材している。
先日はラジオ体操の音楽に合わせて動く小型二足歩行ロボットを撮影した。日本人なら最初の音を聞いただけでピンとくるが、ラジオ体操をもちろん知らないフランスの人々には、これから何が始まるのか予測するのは不可能だ。だから本物のラジオ体操も撮影して、ロボットの映像に合わせて使えればいいと思った。
幸い宿泊先近くの公園に、冬でも毎朝6時半からラジオ体操をしているグループがいるとのこと。翌朝、撮影スタッフ全員5時起きで公園に向かった。しかし、早朝の公園には、なぜか誰もいない。寒さと、撮れないんじゃないかという不安で震えていると、開始直前になってようやく、運動着姿の中年の方々が十数人現れた。お互いに簡単なあいさつを交わし、すぐに体操が始まる。僕たちはカメラを回し、熱心に体操する姿を追った。
一日を元気に過ごすための、10分間の体操。何十年も前から毎日、公共放送が決まった時間に音楽を流し、その時間に合わせて、公園などに集まって体操する人たちが全国にいる。フランスでは考えられない光景だ。監督はこの映像を通じて、日本の国民性も直観できる気がするとうなずいていた。僕たちにとっても充実した10分間だった。
夜型の僕に、5時起きはつらかったが……。
Posted at 12:28 午前
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土曜日 - 2 月 02, 2008
からくり
今回はちょっとしたマイブームを紹介したいと思う。
僕は日本のからくり人形が大好きだ。200年近く前に作られたモノとは思えない技術レベルや、手の込んだ仕組みをコツコツと考える物作りの精神に魅了され、からくり関連のイベントや展覧会があれば、なるべく足を運ぶようにしている。自分で組み立てられるセットをお店で発見した時は、思わず「弓曳童子」というからくりを購入してしまった。
原型は東芝の創業者でもある田中久重ことからくり儀右衛門が、1820年代に考案したモノだ。人形が4本の矢を1本ずつ矢立てから手に取り、弓につがえ、数十㌢離れた的を狙って連射する。一昨年、江戸東京博物館で行われた「夢大からくり展」で実物を見る機会があった。
日々の忙しさに紛れて何カ月間も押し入れで眠らせていたが、年末年始の休みを利用してやっと箱から出した。説明書片手に一つずつパーツを組み立てていると、からくり儀右衛門の心を遠くからのぞいているような気がした。
このからくりは、矢が的に命中せず、外れるよう調整することもできる。外すと気のせいか、童子は悔しそうだし、再度挑戦して当たると、笑顔を見せるようだ。人形に人格を感じさせる工夫が面白い。
唯一残念なのは、説明書に日本語表記しかないことだ。からくり儀右衛門の言葉(日本語のことだ)を読めない外国人には、その面白さが味わえない。弓曳童子が次に狙うべきモノ、それは海外のファンの心だ。
Posted at 08:52 午後
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金曜日 - 1 月 25, 2008
歌舞伎
お正月、久しぶりに歌舞伎を見に行った。何の下調べもしないで見に行くことが多いのだが、そうすると話が全然わからないので、正直言ってちょっとつまらない。
でも今回は事前に見どころや粗筋を調べて、團十郎が演じる助六の花道でのパフォーマンスを楽しみにしていた。にもかかわらず、席を手配したのがぎりぎりだったので、残っていたのは3階席だけ。オペラグラス必携のいつもの席だ。ケチっているのではなく、他の席がとれたためしがないのだ。
3階席には外国人観光客がすごく多い。日本の伝統芸能として海外でも知られる歌舞伎をナマで見たい人たちが、ツアーの一環として訪れるのだ。果たして3階からでも歌舞伎初体験を本当に楽しめるのかな。1階席と比べて、3階席は舞台から離れているから心配だ。
残念なことに僕の席からは、花道の團十郎がまったく見えなかった。楽しみにしていたのに……がっかり。まるで18世紀ヨーロッパの気分だ。当時の劇場では、貴族や裕福層が舞台近くに座り、庶民は天井桟敷から芝居を見ていた。でも21世紀には、もう少し工夫して、離れた席からでも歌舞伎を楽しむことができないかしら? 例えば、日本企業が誇る大型液晶画面を3階席に取り付けたら、どこからでも舞台が見えるようになるのでは? その画面に字幕をつけたら、粗筋が分からなくても歌舞伎を楽しめるのでは? こういうアイデアもクールじゃないかと、遠く3階席からすごく感じた。
Posted at 02:26 午後
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金曜日 - 1 月 18, 2008
成人式

去る14日、渋谷区役所で行われた成人式へ取材に出かけた。会場前では、華やかな振袖やスーツ姿の新成人たちがにぎやかに盛り上がっていて、報道記者の他、外国人観光客も、普段なかなか見られない着物姿の若い女性へレンズを向けていた。
「成人式」という行事は、欧米には存在しない。昔、僕が18歳で「大人」になった時も、個人的には嬉しかったが、とりたてて行事があったわけではない。当時はなんとも思わなかったが、日本に来て成人式の存在を知った時には、ちょっとうらやましかった。
それにフランスでは日本のように、新しく選挙権を得た人に、黙っていても「選挙のお知らせ」が届くわけではない。自分で役所に行って投票権の申請をしなければ、選挙権を行使できない。社会的な責任を感じる、とても孤独な作業だ。
一方、日本では成人の日は全国的な祝日で、自治体をあげて成人式を行う。大人社会への第一歩を不安とともに期待も持って歩み出せそうな気がする。
この大事な日に会場前では、日本共産党の街頭演説が行われていた。ワーキングプア、格差社会など、若者たちにとっても身近であるはずの社会問題を、新成人に少しでも意識してもらおうとしているのだろう。
お互いの晴れ姿を写メールで写すのに一生懸命だった新成人の皆さんに、そのメッセージは届いたかしら? 晴れ着を脱いだ明日は大丈夫かしら?
Posted at 02:23 午後
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金曜日 - 1 月 11, 2008
甘酒

初来日の際、まず日本の冬の澄んだ空気と高い青空の組み合わせに魅了された。それまで過ごして来たパリの冬は寒気と共に雲が低くたれ込み、しばしば冷たい雨も降る。そんな冬を誰が好きになれるだろう?以来21年間、お正月を一度もフランスで過ごしたことがない。そして長年、お正月を日本で過ごせば、「マイ伝統」も出来てくる。神楽坂に引っ越してからは、年越しの瞬間を必ず近所の神社で過ごすようになった。23時50分頃に家を出て、静かな真冬の夜を徒歩5分の神社へと歩く。同じように歩く他の人々も皆、目的地は同じだ。神社に着くと、参拝の列が少しずつ出来だしているが、まだまだ余裕。列に並び、お焚き上げの炎からはぜる火を眺めながら、カウントダウンを静かに待つ。神秘的な瞬間でもある。やがて除夜の鐘が鳴り、張りつめた空気が緩む。新年が明けると参拝客も増え、列も少しずつ進み出す。我が家の番ももうすぐだ。そして、参拝の後にはおみくじを買い、今年の家族3人の運を照らし合わせる。これが毎年の家族行事だ。でも、僕にとって本当の年明けは、境内で配られる甘酒を飲んだ瞬間だ。毎年、町内会のボランティアの方々が参拝客に一杯振る舞ってくれるのだ。冷えた指を紙コップを通して伝わる熱い甘酒で温めながら、少しずつ味わう。係の方が自分の家族と過ごす時間も甘酒と共に振る舞ってくれているのだと思うと、心も温まる。このささやかな心遣いは新しい年最初の良い出来事だ。ボランティアの皆さん、毎年Merci!
Posted at 02:17 午後
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金曜日 - 1 月 04, 2008
お節料理

明けましておめでとうございます。読者の皆さん、今年もどうぞよろしくお願いします。
ちょっぴり遅いが、今週はお節料理の話。例年、自家製のお節を楽しんでいるが、今年はデパート系の物に初挑戦した。高値におびえつつ、展示見本の中から選ぶのはとても楽しい。お財布と相談して、今回の原稿料に相当するものに決めた。
丁寧に重箱に詰められた珍味ではなく、生活に根ざしたものから単純な語呂合わせまで、それぞれ意味が込められているのがおもしろい。
例えば田作はもともと、田畑の肥料として使われていたカタクチイワシを、新しい年の豊作を願いつつ食べたもののようだ。ハイテク日本のお節にも相変わらず顔を出すのは興味深い。
「めでたい」の「タイ」、「よろこぶ」の「昆布巻き」の由来を初めて知った時、今も昔も変わらない日本人のユーモアに思わずうなずいた。オヤジジョークでは誰にも負けない僕は、こういうのが特に好き。
日本人の間でもあまり知られていないようだが、五段ある重箱のうち、一番下の五の重を「控えの重」として空にしておくのは、さきざきさらに富が増える余地があることを表しているそうだ。場所を用意して福を待つという発想は、なんだかカワイイ。
里帰りし、家族に囲まれながら楽しむお節料理の重箱には、日本人の文化や心が彩り良く詰め込まれていると思う。
Posted at 02:11 午後
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土曜日 - 12 月 29, 2007
忘年会

いよいよこの連載も今年の最終回。読者の皆さん、2007年はどんな年でしたか? 良い思い出がいっぱいの年だったことを願っています。忘れてしまいたい年であった方は、忘年会でうまくストレスを発散できたかしら?
職場の忘年会は、僕が日本に来て初めて知り、かつ感心したことの一つだ。仕事とプライベートをはっきり分ける欧米には、職場での飲み会というのが基本的にない。年末には、社長のスピーチと乾杯で1年を締めくくるパーティーがあることはあるが、本当に簡単なものだ。
同僚や、場合によっては取引先も交えての忘年会、僕はとても良い習慣だと思う。レストランや居酒屋に集まってお酒を飲みながら1年を振り返る。仕事相手と仕事以外のことも話題にし、より気心が知れる機会。僕も毎年この時期には、いっしょに仕事をしている広告代理店やカメラマンのグループから招かれて、週に何回も飲み歩く。普段の飲み会よりも大人数で集まるから、新しい知り合いができることが多い。この場での出会いが、翌年に結ぶ人脈の最初のステップになることもある。
いやなことは古い年といっしょに忘れてしまおう、という考え方は気に入っているが、個人的には「忘れる」会より、絶対に「覚えておく」会にしたい。
それでは、2008年が皆さんにとっていい年になりますように! 来年もまた、紙面でお目にかかりましょう。Bonne annee!
Posted at 02:05 午後
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金曜日 - 12 月 21, 2007
クリスマス
ハロウィーンが終わると、お店や街のデコレーションはクリスマス・ムード。四季折々の彩り豊かな日本だが最近は、自然界の季節の移り変わりより、商業施設のシーズン・ディスプレーの方が、時間の流れを正しく感じられる気がする。
余談だが、今年の紅葉は特に遅かったような。このままでいくと、お正月過ぎに落葉する日も近いのではないかしら? 地球温暖化の影響がここまで来ているのか、気になるところだ。
さて、クリスマスといえば日本では、友だち同士でのパーティーやカップルで過ごすのが主流。一方、お正月には里帰りをする人も多く、家族で過ごすのが一般的だ。
フランスではこの逆。クリスマスは家族など内輪で祝い、新年のカウントダウンは友人同士でクラブやレストランへ繰り出すことが多い。
キリスト教では、生まれたばかりのイエスと母のマリア、父のヨセフが馬小屋で安らぐ光景は、家族を象徴する場面だ。だからクリスマスにツリーを囲んで家族で過ごすのは、本来の意味に沿った過ごし方なのだ。そのため、イブの夜は街がとても静か。イエスを通して家族に思いをはせる日なのだ。初詣でに行って、八百万の神々に家族の無病息災を祈るのと似ている。祝う日は一緒でも、国柄によって過ごし方が変わるのが面白い。
今回の写真は、僕が思う東京で一番クールなクリスマス・イルミネーション。読者の皆さんへ僕からのプレゼントだ。Joyeux Noel !
Posted at 05:21 午前
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金曜日 - 12 月 14, 2007
新しい入国審査手続き
日本政府は11月20日、来日する外国人や再入国する在日外国人のほぼすべてから、両手の指紋と顔写真の採取を始めた。「政府インターネットテレビ」では、その手続きをこともあろうに「クールジャパン」のチャンネル紹介している。
あれ? 来日する人をテロリスト予備軍扱いすることの、どこがクール? 「外国人観光客様は犯罪者様」と言ってるようなものじゃない? 僕のように日本に根付いた在日外国人は、みんなあきれているんですよ! 労働ビザや永住許可を取得した外国人の身元情報は、入国管理局に把握されている。なのにどうして再入国するたびに、いちいち指紋を採られなければならないのか?
リオネル・デルソーは東京で20年以上暮らすフランス人通訳者だ。ネット上で署名運動を展開したり、ポスターをつくったりして、この制度に警鐘を鳴らしている。
彼が最も恐れるのは、この差別的で排斥的な扱いもさることながら、これが常識として定着することだ。たとえば、日本人の妻子を持つ外国人男性が空港で再入国手続きをする時、家族なのに別々のラインに並ばざるを得ない。そして、それを子供に、お父さんは外国人だから、君やお母さんとは違って写真と指紋をとられるんだよ、と説明しなければならない。こういうのが当たり前になってしまうことだ。
日本政府には悪いが、やはりこの制度、クールではない!
Posted at 04:56 午前
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金曜日 - 12 月 07, 2007
サービスロボット
先週末、東京・有明で行われた「国際ロボット展」を取材した。展示は主に産業用ロボットだが、「サービスロボット」のコーナーには、掃除や警備、調理、教育、介助など、生活の場で人間とかかわるロボットも出品されていた。もしかすると数年後には、このようなロボットが一般家庭にまで入ってくるのかもしれない。
欧米人にこうしたサービスロボットの話をすると、これまでだったら、こんなもの本当に必要なの? とけげんな顔をされることが多かった。日本人は鉄腕アトムなどのおかげで、ロボットに好意的だ。しかし欧米では昔から、ロボットは人間のパートナーではなく労働者の職を奪う敵と見なされていて、今でもそれが一般的な認識だ。だから欧米では、日本のサービスロボット開発は正直、半分バカにされていたのだ。
それが一転、国際的な場で賛同を得る画期的な場面に、今回遭遇した。ロボット展の催事の一つとして行われた「ロボットサミット」で、スイスの産業用ロボット大手、ストーブリ社のアジア・太平洋地域マネジャー、サイモン・ウィットン氏が、将来、高齢者の医療や介護にはロボットの助けが不可欠になるだろう、と発言したのだ。このことを日本人の研究者以外の口から聞いたのは初めてで、とても驚いた。
発言の背景には、2050年には地球の人口の2割強は60歳以上になる、という事情があるのだろう。日本のサービスロボットが世界をリードする日は近い?
Posted at 11:05 午前
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金曜日 - 11 月 30, 2007
アイデアで勝負!
先週末、新宿で行われた「世界のCMフェスティバル」へ遊びにいった。世界中の面白いテレビCMを集めてオールナイト上映するこのイベントは、81年にパリで生まれ、今では世界40カ国で楽しまれている。一晩のイベントで紹介するCMは500本に上り、その制作費を合計すると、「タイタニック」のような大作映画をはるかに越えるそうだ。
今回、日本でもヒットしている男性用ボディースプレーAXEのCMを世界中から集めてきて上映している。エロチックなCMで知られるAXEだが、「日本のは米国などにくらべるとずっとおとなしい」。こう語るのは、?年以来、このフェスティバルの日本版を提供しているフランス人、ジャン・クリスチャン・ブーヴィエだ。
福岡在住?年の彼に、日本で制作されているCMの特徴を聞いた。
「低予算でもアイデアで勝負しているCMが特に好き。福岡の若手クリエーターが作ったローカルCMを毎年上映しているが、時にはこういった低予算のCMの方が好評なことがある」
CMの出来と予算は関係ないという彼の意見に、僕も同意。僕が感激したのは、人間がパワーショベルやクレーンなどの重機を演じる、福岡の建設機材レンタル・販売会社南陽のCMだ。日本と違ってフランスには、地方局というのが存在しないので、地元密着かつ経費節減型のCMにお目にかかることがない。だからよけいに新鮮に感じるのだろう。クールなアイデアに拍手!
Posted at 10:52 午前
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金曜日 - 11 月 16, 2007
手で見る展示
美術館や博物館でよく見かける、「展示に手を触れないでください」という注意書き。美術品は目で楽しむもの、手で汚してはいけない……。一応納得できるが、じゃあ、目が見えない人はどうしたらいいの? 芸術を楽しめないの? それを意識したのは、京都の龍安寺を初めて訪ねた時だった。
石庭の静謐な美しさには、もちろん感動した。それ以上に僕が龍安寺で感嘆したのは、「ミニ石庭」だった。実物の25分の1サイズで、石庭の15個の岩の位置、形や大きさ、白砂の帚目までできるかぎり正確に再現してある。目の見えない人が自由に手で触れられるよう用意され、点字の説明パネルも貼られている。本当に優しい工夫で、僕は日本以外の国でこういうのにお目にかかったことはない。
それから僕は博物館に行くたびに、目の不自由な人向けにどういう配慮があるのかを、まめに調べるようになった。たとえば江戸東京博物館には「手で見る展示コーナー」があり、人力車や建物の模型などが用意されている。でも僕が知っているかぎり、まだまだ視覚障害者に優しい展示施設は少ない。そこで、一つ提案したい。
美術館、博物館関係者の皆様! 手で見る展示コーナー設置に力を入れ、視覚障害者にとって、もっともっとクールな国にしてください。せっかくミニアチュアや縮小モデル作成の技術を誇る、手先の器用な国なのだから。
Posted at 03:40 午後
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金曜日 - 11 月 09, 2007
夜間工事
あの、やかましい夜間工事がクール? 読者の皆さんにどうかしてるんじゃないかと思われるに違いないが、あえて言わせてもらいたい。
パリ市内の住宅地区では、夜間工事がほとんど行われない。深夜労働に必要な労働力の確保が難しいからだ。そのため、道路工事は日中だけ。ただでさえ渋滞だらけの市街なのに、工事期間中の混雑は本当に大変なものだ。
そんなパリから来た僕は、初来日の時から日本での夜間工事にはとても感心していた。道幅が狭い上に交通量が多い日本の道路で、もし工事を日中だけにしたら、毎日が高速道路の百キロ渋滞のようになるだろう。
工事が静かな点もいい。十分うるさいと思われる方も多いと思うが、上には上がいる。上海での出来事だ。滞在中にちょうど宿泊先の近くで夜間工事が行われたのだ。住宅街にもかかわらず、その音たるやフランスの日中工事並み。突然の騒音と振動に跳び起きるほどだった。住民はよく我慢しているものだ。その時、日本の工事現場は苦情が出ないよう、いろいろ工夫していることを本当に実感した。
低騒音・低振動の機械を使い、発電機すらとても静か。スタッフ同士のやりとりも大声をあげず、物も落とさないよう気を遣っていることが一目で分かる。
日本の工事に対する不満は一つだけ。電気、ガス、電話の工事をもう少しまとめて計画してほしい。だって、東京はいつもどこかが穴掘り中……。
Posted at 07:26 午前
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金曜日 - 11 月 02, 2007
100円ショップ
皆さんおなじみの100円ショップ。よく外国人を見かけるなぁ、と思ったことはないですか? 「日本の物価が高いから100円ショップで我慢しているのかな……大変だなぁ」と、きっと同情したことでしょう。
でもちょっと待って! 金銭的に助かることは確かだが、実は外国人が100円ショップに通う理由はもう一つある。この値段でこの品ぞろえはただ一言、「クール!」。
外国人の感覚では、安い店=コストを徹底的に削減する店。サービスや保守はあまり期待できない。商品の並べ方だっておざなりで、もしフランスにあったら、よっぽどお金がない人以外は入りたがらない店になるだろう。なのに日本の100円ショップでは、店の中はぴかぴか、商品も丁寧に並べられていて、よその「お高い店」と変わらない。
フランスから来日したマーケティング専門家を100円ショップに連れていくと、「同じような店がフランスに現れたら、地元の店は大変だろうな……」と心配している。
外国の子どもたちにも、100円ショップはメルヘンの国だ。1個のモノにワンコイン。コンセプトが子どもにも分かりやすいので、「初めてのお買い物」にも最適。初めてもらったお小遣いは、たいてい100円ショップで使う。知り合いの子どもに「日本は好き?」と聞いたら、「ウン、100円ショップがあるから!」。こんな店のおかげで、日本は、子どもにとってもクールな国のようだ。
Posted at 07:00 午前
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金曜日 - 10 月 26, 2007
「パソロボ」がやってくる

23日から、上野の国立科学博物館で「大ロボット博」が始まり、テレビなどで話題になっている。鉄腕アトムを生んだ日本で、ロポットは産業用だけでなく、人間のようなニ足歩行タイプでも世界最高水準だ。
僕はロボットには非常に関心があり、先週末は「アキパ・ロポット運動会」を取材した。ロボットの競走や、先端ロボットの実演などが行われるイベントだ。
去年は最先端技術を使ったホンダの「ASIMO」や、ココロという会社の人体型ロポット「アクトロイド」が紹介されたが、今年は自分で組み立てるようなホビー系の小型ロボットが主流だった。
その理由をロポット運動会の妹尾堅一郎エグゼクティブプロデューサーに尋ねた。「ロボットは研究所や大手企業だげのものというイメージがあるが、家庭でも楽しめることをこのアキパ・ロポット運動会を通じて強調したかった。三十数年前、パーソナルコンビューターが秋葉原から広まったように、パソロポ(パーソナル・ロボット〉もいずれ全世界に普及すると思っている」
会場で、「ファミロボ」の名で知られる3人家族と出会った。お母さんと娘さんが、お父さんの組み立てたロポットで対戦競技に参加している。お母さんのロボットはハロウィーンのコスプレ。娘さんの操縦テクニックはとても迫力があった。
体験・参加を柱にしたロボットイベントが結ぶきずなは、いずれ日本から全世界に普及すると確信した。
Posted at 08:41 午前
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金曜日 - 10 月 19, 2007
伊万里焼
8年ほど前、米国での出来事だ。フランス人のイヴァン・トゥルッセルは、日本人の妻から誕生日に、1枚の古い伊万里焼の絵皿をプレゼントされた。イヴァンはジャーナリストとして日本に滞在したことがある。以前から日本の古い?笥や民芸が好きだったし、もちろん日本の磁器を見るのは初めてではなかったが、白い生地に繊細な柄の描かれたこの皿の美しさに、あらためて感動した。そして日本から遠く離れたカリフォルニアで、少しずつ伊万里焼の収集を始めた。
イヴァンの情熱はとどまることを知らず、2003年に日本に戻ると、大学でフランス語を教える傍ら、
秋葉原の裏通りに夫婦で店を開くまでになった。
「収集からこの世界に入ったが、いつの間にか売る側に立ってしまった。売る立場になって、コレクターでいた時よりも、良いものに出会うを機会が増えた」。業者として、旧家の蔵などから絶品の伊万里焼を掘り出すこともあるそうだ。「個人的には、藍と白の対比が美しい『藍柿』や、元禄時代の柿右衛門が好き。気に入ったものを1個1個買い、店に並べているが、お気に入りのものに買い手がつくと、手放すのがとてもつらい」
イヴァンは、伊万里焼に寄せるこの情熱を、他の人にも伝えたくなったという。現在、伊万里焼についての専門書を書き下ろしている。クールなプレゼントのおかげで人生が決まることもあるようだ。
Posted at 08:43 午前
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金曜日 - 10 月 12, 2007
アブダル・マリク

このほど初来日したスラム歌手のアブダル・マリクは、このジャンルでフランスを代表する存在だ。スラムは、簡単に言えば詩の朗読に伴奏がついたパフォーマンスだが、ラップとはまたひと味違う。
マリクは1975年生まれ。コンゴからの移民2世として、ドイツ国境に近いストラスブール郊外の貧しい団地で育った。彼は以前から日本に関心を持ち、今回の来日を楽しみにしていた。しかし、「日本に来てみたら、驚くほど外国人が少ないのはなぜだろう。僕の弟はヒップホップ歌手だけれど、マンガが大好きでしばしば日本に遊びに来ているし、曲やプロモーションビデオの中に日本の要素をいっぱい入れている。こうやって日本が好きで興味を持っている若い人が増えているのに」。
日本は日本人だらけ。これは、彼に限らず日本を訪れた外国人が必ず抱く感想だ。僕は労働ビザのとりにくさなど、外国人のフラストレーションの種になっている日本の閉鎖的な制度について説明した。すると、彼はこう言った。「フランスは多くの国から移民を受け入れて、今では多民族社会だ。僕は移民として生きるつらさを、自分や仲間の体験を元に歌ってきた。でも、異文化とかかわり合うことには、良い点だってある。僕は音楽を通じて、このことを日本の人にも伝えたい」
彼のコンサートを訪れた人々は、おそらく彼のフランス語の詩を理解できなかったろう。しかし彼の音楽の心、民族を超えた人類への愛のようなものは、伝わったに違いない。
Posted at 11:51 午前
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金曜日 - 10 月 05, 2007
日本紀行今昔
僕が初めて日本に来た80年代後半、この国に関心を持った僕みたいな若者の旅は、辞書片手に何もかも1人で調べながらの冒険だった。パックツアーに参加するお金のなかった僕には、限られた滞在期間に、共通の趣味を持つ日本人と知り合うチャンスはまずなかったし、関心のあるイベントの情報を手に入れることもほぼ不可能。
しかし20年を経て、冒険を取り巻く環境ははるかに良くなった。たとえばAutrement le Japon社はフランスから、格安日本カルチャー・ツアーを主催している。代表の平山幸枝さんによると、初めて日本に来る若者の関心は、圧倒的にマンガやアニメ、J−POP。先日も50人くらいが来日したばかりだ。 ツアー参加者には事前に、イベントやコンサートの情報が提供されているから、好みのものに申し込んでおけば、日本に知り合いがいなくても大丈夫。おまけに、日仏交流イベントでは、日本人参加者たちと居酒屋で楽しく過ごすことができる。平山さんが「ミクシィ」上に設けているコミュニティーを通じて応募してきた彼らは、「日本のポップカルチャーに関心のあるフランス人」たちと同好の土ばかり。お互い初対面だけれど、片言のフランス語や英語、そして日本語で、大いに盛り上がっていた。
ミクシィのような「コミュニティーサイト」のお陰で、同じ趣味を持つ外国人同士が簡単に交流できるなんて、うらやましい!
Posted at 11:42 午前
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金曜日 - 9 月 28, 2007
和風アイス
夏にパリを訪ねるグルメな観光客はほぼ必ず、ノートルダム大聖堂の近くにあるアイスの名店「ベルティヨン」のシャーベットとアイスクリームを買い求める。3世代にわたってオリジナルアイスを作り続けている店で、野生桑の実や青リンゴのシャーベットは、フランス人にとっても夏の思い出とともにある味だ。
ジェラートも、イタリアならではのオリジナリティを出す店が多い。トマト味、バジル味などで、僕のようなアイスファンをいつも楽しませてくれる。
日本のオリジナル、和風アイスも最近かなり種類が増えた気がする。抹茶味、黒ごま風味のソフトクリームは今では定番になったし、醤油や塩味のアイスも買える。神楽坂下にある紅芋アイスは個人的に病みつきの逸品だ。行きつけの回転寿司のデザートには、一時ワサビアイスがあり、鼻にピリッと抜けるワサビの辛さがたまらなかった。また、恵比寿に用事がある時には、和風アイス専門店でカボチャ、甘納豆やサクラなどの味を楽しんでいる。
この夏、フランスから初めて来日した友人は、生魚は苦手だったが、和風アイスには目(口?)がなかった。僕が思うに、アイスは異国の食文化入門に適した食品だ。想像もつかない味を一口思い切って試してみて、もし気に入ったら、その国の味や文化をさらに追求したくなるに違いない。
その意味で、猛暑のこの夏一番クールなアイテムは和風アイスだったかも!?
Posted at 02:54 午前
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金曜日 - 9 月 21, 2007
子どもも一緒
8月末に原宿の「スーパーよさこい2007」を見に行った。高知で50年以上の歴史を持つ「よさこい」は、今では札幌や沼津でも楽しまれている。原宿では2001年から。103チーム延べ6000人のメンバーが、鮮やかな衣装を身につけ、元気いっぱいの音楽に合わせて高度な振り付けを披露する様は、僕も観客を辞めて参加したくなったぐらい、楽しく良い雰囲気だった。
この祭りを見ていて特に感心したのは、それぞれの団体に参加していた幼い子どもたちのこと。2日間で100万人の動員数を数える大勢の観客の前で、小学生や幼稚園児のお坊ちゃんお嬢ちゃんたちが大人と一緒にステージに上り、一人前のメンバーとして一生懸命踊る姿は、とてもクールに見えた。
フランスならばこういう時、「子どもコーナー」または「子ども専用イベント」などを設けるだろう。「まじめな」大人のコンテストを半人前の子どもなんかに邪魔されたくない。一人前の個をたくましく鍛える社会の発想だ。
一方、このよさこい祭りでは、世代を交えて参加することによって、幼稚園児まで自然にグループの一人であることにプライドを持ち、社会性や団結心を学ぶ。日本ではこうやって社会や文化を無意識に子どもへ伝えるんだな、と改めて感心した。日本の社会意識形成のこつを垣間見た気分だった。
みなさん、来年のよさこい祭りにも頑張ってください。
Posted at 07:57 午前
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金曜日 - 9 月 14, 2007
ちんどんに魅了されたピエール・バルー
長年の友人ピエール・バルーは、映画「男と女」の作詞家・歌手・俳優として名高いが、ブラジルのサンバなどワールドミュージックをいち早くフランスに紹介した人でもある。現在、ブラジル、パリ、そして東京で暮らすバルーは、日本のチンドン音楽をとても高く評価している。「フェリーニの映画に現れそうだ。庶民的で、遊び心があって、もちろん音楽的にも優れている」
バルーが初めてチンドンに出会ったのは、作家でシャンソン歌手の戸川昌子が経営する渋谷のバー「青い部屋」。そこで演奏されていたのは、街でお馴染みのチンドン音楽のほか、ジャズや童謡、ワールドミュージックなどをアレンジした「ネオチンドン」だった。あまりにも感激したバルーは、彼らをフランス西部の小さな村で彼が毎年主催する音楽フェスティバルに招き、現地の人々に紹介した。
バルーのチンドン屋に対する憧れは、実は個人的にものすごく理解できる。僕も20年前に初めてチンドンを聞いた時は、その非日常的な響きの音源をとらえてやろうと、矢も楯もたまらず、カメラを抱えて外に出た。その後、毎年富山市で行われる「全国チンドンコンクール」に出向き、後年、審査員になるほどのめりこんだくらいだ。
来週9月17日、恵比寿ザ・ガーデンホールで開かれるバルーの15年ぶりのホールコンサートには、「ちんどんブラス金魚」というグループも出演する。今からとても楽しみだ。
Posted at 05:03 午前
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金曜日 - 9 月 07, 2007
文化の交差点
「コミックマーケット」には、外国人ファンがたくさん訪れる。スペインからは昨年、ツアーで60人もが来場した。フランスのマンガ専門学校からは、コミケと組んだ共同企画を考えたいと申し込まれたそうだ。
一方これだけ有名になると、観光気分で来場する外国人が増えるのは当然だ。日本のマンガについて予備知識のない人たちがいきなり、たくさん出品されている成人向け同人誌に出会った時、日本のマンガとはセックスを扱ったものだ、という誤解が生まれないだろうか。
コミケはには、特別な参加資格は必要ない。個人が同人誌という手段で自由に発信できる場だ。ネットがなかった時代から現在まで、アマチュアの自由な表現を守り続けている。HPやパンフレットで外国人向けに、こうした歴史を紹介したら、コミケの本意をより理解してもらえるのではないだろうか。
「コミケが世界中のマンガファンの交流の場になることは大歓迎です。でも、3日間で55万人を動員するイベントで、おまけに運営は手弁当。外国人来場者だけを特別扱いできないのが実情です」と、筆谷芳行共同代表は語る。
コミケのカタログなどを印刷している共信印刷の中村安博社長は、数年前から会場の一角で、海外のマンガをパネルで紹介している。コミケが文化の交差点でもあることを象徴する場面だ。コミケの側でも、もっと世界にアピールする手段を考える時期に来ていると思う。
Posted at 04:15 午後
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金曜日 - 8 月 31, 2007
言葉の壁超えるコスプレ

先週に続き「コミックマーケット」の話題をご紹介したい。
コミケには、同人誌販売コーナーの他にコスプレ広場がある。そこにも外国人が大勢いて、日本人コスプレイヤーを撮影していた。コスプレなら、言葉の壁を越えて楽しめる。
日本のテレビアニメが外国でも放映されるようになると、アニメファンの一部はコスプレに目覚めた。ネットなどでコスプレというアニメの楽しみ方があることを知ったからだ。
コミケに外国人コスプレファンが姿を現すようになったのは、05年に愛知万博会場で開かれた「世界コスプレサミット」以来だ。サミット自体は03年以来毎年名古屋で開かれているが、05年には例年より多くの外国人ファンが参加した。彼らはそこで、コミケがコスプレのトレンド発信地であることを知ったらしい。
コスプレ広場の一角に、遠くからでもわかるほど盛況のスポットがあった。そこでは、何とNARUTOとその仲間のコスプレをしている外国人3人組がいた。灼熱の太陽の下、辛抱強く忍者ポーズをとって大勢のカメラマンに囲まれていた。「格好いい!」「本物のNARUTOみたい」などと、それぞれ感想をつぶやくカメラマンやギャラリー。
コスプレの主はイタリア人から来た若者たち。京都や秋葉原などの観光スポット巡りもしているが、コスプレ本場コミケに登場するのが、彼らの旅の主たる目的だった。オタクの国際化は進んでいる!
Posted at 09:26 午前
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金曜日 - 8 月 24, 2007
コミケと外国人

8月17〜19日に開催された日本最大のマンガ同人誌即売会イベント「コミック・マーケット」(通称:コミケ)へ数年ぶりに行った。3日間で55万人が来場と、オタクパワーはますます盛んだ。今回特に注目したのは、外国人参加者のこと。
僕が初めてコミケを取材したのは91年の夏だった。その時、昨年癌で亡くなった米沢嘉博代表自身が親切に応対してくださったことが、今でも思い出に残る。欧米人は僕以外1人も見かけず、参加者はきっと奇異の目で僕を見ていただろう。
16年後の07年夏コミケでは、外国人はもう珍しくない。僕が行った3日目だけでも欧米人を50人以上見かけたが、アジア系の人もいただろうから、1日数百人の来場か。
観光客として来場したスイス人男性2人は、動員数と熱気に圧倒され、呆然としていた。「こんなにHENTAIマンガがあるとは想像していなかった」。HENTAIは今や、日本語がわからない人にも通じる世界共通語(?)だ。
アイルランド出身の23歳の若者は今回5回目のコミケだった。宇都宮に暮らす英語教師の彼は、日本人の常連客同様に前日上京して会場近くに宿泊し、当日は朝6時から入場口に並んでいた。普通の店では手に入らない人気同人ゲームや限定販売同人誌を手に入れ、ご満悦の様子。「少人数のサークルで半ば趣味的に作られている同人ゲームには、大手メーカー発売のものにはない自由な発想がある。僕も本職はプログラマーなので、いずれこういう同人ソフトを作りたいな」
コミケ今や、外国人オタクにとっては伝説なのだ。
Posted at 03:36 午後
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金曜日 - 8 月 17, 2007
食品サンプル

外国人観光客にとって、日本の飲食店の前に飾ってある、本物そっくりの食品サンプルは、とてもありがたい。
言葉が全然通じない国へ旅行に行った時、最大の冒険は、食事の時にあるかもしれない。おなかを空かせてレストランに入ったのに、出てきたメニューは読めない文字だけがズラッと並んでて、さぁ、何を頼んだらいいか、ちっとも分からない……辛うじて注文すると、想像と全く違うモノがテーブルに運ばれてくる。
その点、店の前に食品サンプルがあれば、言葉が全く分からなくても、料理のボリューム、盛り付けなどのイメージを立体的に目で確認して、食べたいものを選んでから店に入れる。店員に言葉が通じない確率が高いので、一緒にサンプル前に行き、指さして示せば、間違いなく好きなモノを注文できる。
もう一つ、食品サンプルは店の看板より雄弁に店を語る大きな役割を果たしている。サンプルの状態を見て、お店の雰囲気、やる気などを判断することができるからだ。分厚いホコリが積もっていたり、年月がたって日に焼けたサンプルが並んでいると、その店には入る気がしない。
ちなみに食品サンプルは、外国人観光客の間ではお土産としても人気があって、僕も日本に遊びに来た知り合いを何回も、合羽橋の専門店に案内したことがある。
日本以外の国では目にしたことがない、クール! そして便利! なアイテムだ。
Posted at 10:03 午前
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金曜日 - 8 月 10, 2007
神楽坂の眺望
神楽坂は知る人ぞ知る、フランス人の多く住む街だ。近くに日仏学院やフランス人学校があるので、子どもの通学の便を考えて引っ越してくる人が多いが、それだけが理由ではない。神楽坂には古き良き東京の雰囲気がまだ残っていて、それが外国人を惹きつける。僕もこの街の情緒を「クール!」と感じる一人だ。一歩路地裏に足を延ばすと、昔ながらの木造家屋や石畳の狭い路地。まるでタイムスリップしたかのようだ。癒しの時代と言われる今にぴったりの、とても落ち着いた街。
ガイドブックで必ず「江戸時代を感じさせてくれる東京唯一の街」など紹介されるのは浅草だ。それに比べて神楽坂は地味な存在だった。しかし最近は、カメラを持った日本人や外国人観光客をよく目にする。この春、テレビドラマ「拝啓、父上様」の舞台になったために、認知度が急に上がったのかもしれない。
数年前、神楽坂に初めてタワーマンションが建てられた時には、かなりの反対運動が起こった。しかしマンションは結局建設され、今も何件も建設中だ。辛うじて残っている神楽坂の雰囲気がビル群によって潰されるのは時間の問題だ。
美しい景観が観光資源であることを理解している京都市は、景観地区のビルの高さや屋外広告などを制限して、イメージを守ろうと努力している。それとは逆に、住民の思いを無視し、高層マンションが建ち続ける神楽坂。これ以上、街の雰囲気が破壊されないよう、早めに対策がとられることを願っている。
Posted at 10:00 午前
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金曜日 - 8 月 03, 2007
居心地のよい店

今回は、僕が日本の居心地の良さを一番感じるところを紹介したい。渋谷のんべい横町の焼き鳥屋さん「鳥重」のことだ。
敗戦後間もなく開店した、4坪あるかないかの店。あまりにも人気の店なので、予約は一週間前が常識だ。
安くて美味しいのは、言うまでもない。「柔らかいモツ」に山椒をかけ、「心臓」に柚子胡椒を少々など、メニューと食べ方も、それを「お母さん」が供する手順も、昔から決まっている。定員11人×3回の入れ替え制は、一人一人のお客を大切にしたいお母さんの心のあらわれだ。
この店では、そんな「お母様は神様」。最初の串が炭火のコンロに置かれない限り、どんなにのどがカラカラでも、飲み物の注文は御法度。欲張って多めに注文すると、「バラール氏、そんなに召し上がれますか?」と心配そうに注意される。
串を焼く手が落ち着くと、お母さんは冗談を交えながらお客さん皆に声をかける。十八番は健康相談。無理して11人がやっと座れる狭い店で、皆が気持ちよく会話に参加し、日常的な心配事と時間を忘れる。
ネオンがまぶしい渋谷駅近くで、ここだけは時間が止まったように感じられる。古い木造の、ガラス戸を引いて入るこの店を、超エキゾチックと感じる外国人もいるだろうけれど、僕の胃袋とともに心も引き寄せたのは、あふれる人情だ。この店がなくなったら、僕の渋谷のクール地図は大いに変わるだろう。
Posted at 11:42 午前
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金曜日 - 7 月 27, 2007
丁寧なサービス

今回はモノではなく、形のない「クール!」な話。まず、先週の出来事を紹介しよう。
近くパリに渡航予定の日本人の知人から、アパルトマンに電気を引く時にはどんな手続きがいるのかを尋ねられ、彼に代わって民営化されたばかりのフランス電力公社(EDF)に電話をした。長い呼び出し音の後やっとつながったと思ったら、何のあいさつもなく、電話を保留にされた。そしてそのまま、職員同士の私語やキーボードの操作音などを聞かされながら待った。
きっと他のユーザー対応に忙しいのだろう……。数分たって、忘れられたのかも……と心配になったので、こちらから「Allo?(もしもし?)」と叫んで相手にアピールしたが、相変わらずの無反応。僕は特に辛抱強い質ではないのだが、友人のためにもあきらめたくなかったので、そのまま待ち続けた。
そうしたら、こういう会話が聞こえた。「しぶといなぁ……なかなか電話を切らないんだよ。こっちから切るしかないなぁ」。すぐに電話は切られた。一言も会話することなく、45分が過ぎていた。
日本の皆さんには信じられないだろうが、フランス人の友達にこの話をすると、母国の銀行や役所、郵便局、保健所などで似た体験をした、という声があちこちから上がった。しかし、僕は東京で暮らした20年間、窓口の職員から一度もこのような対応をされたことがない。いかに日本のサービス精神が僕ら外国人にとってクールか、わかってもらえる?
Posted at 10:38 午前
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金曜日 - 7 月 20, 2007
日本へのラブレター
表面的な「クール」にとどまらず、日本の本質を評価し、「本命」と思っている外国人もいる。その先駆者の一人が、フランス国立科学研究所の研究員ジャン=フランソワ・サブレ先生。日本の部落問題や教育制度が専門の社会学者だ。
彼が最近、エッセーの形で自らの日本に対する気持ちをまとめた。『日本、ぼくが愛するその理由は』(七つ森書館)の中でサブレ先生は、1970年代半ばの日本に関する思い出に始まる個人的な出来事を振り返り、日本の人々の懐の深さと優しさをたたえる。
「永谷のおばあさん」はサブレ先生にとって、日本を象徴する人物だ。先生一家は神楽坂辺りの古い日本家屋で13年暮らした。大家の永谷のおばあさんは「鼻がピンクの白人」一家を暖かく受け入れ、つらかった半生を打ち明け、果ては養子になってほしい、とまでもちかける。一人息子である先生は、その話を断らざるを得なかったのだが……。
本書は「青い目で見た日本」でもなく、研究者としての日本社会論でもなく、日本とフランスの二つの文化に生きるフランス人の、日本へのラブレターだ。
先月、再来日したサブレ先生と彼の行きつけの居酒屋で再会し、日本人の性格で一番好きなところを尋ねた。一言、「好奇心」とのこと。「日本人は常に知恵を磨いて、新しいことに挑戦する。この精神がとても好き」。30年前、日本の社会を究めるために来日したサブレ先生が見つけたのは、日本人の心だった。
Posted at 10:38 午前
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金曜日 - 7 月 13, 2007
オタクデモ

去る6月30日、秋葉原で世界初の「オタクデモ」があった。「アキハバラ解放でも」数百人の自称オタクが、アニメソングを歌いながら秋葉原の中央通りを中心に、交通規制をキチンと守って行進した。
「革命」ならぬ「革萌」と書かれたヘルメットを始め、学生運動のデモ装備一式のパロディーを身につけたリーダーたちの横に、メード姿の女性やコスプレファン。皆、マンガを捨てて街に出た。僕も取材でデモに飛び込み、とても楽しかった。
主催者の一人、古澤克大氏に、デモの趣旨を尋ねた。「〝アキハバラが好き″と発信したかった。最近、マニアの店が裏通りに追いやられている。次第に秋葉原がただのビジネス街に変化し、僕らオタクにとって居心地が悪くなりそうに感じている。そして表現や遊びの自由に関する危機感もある」
僕は、このオタクデモはとても象徴的な出来事だと思う。ここ数年で日本発のポップカルチャーが世界に普及したのは、オタクのおかげだ。それに対して、企業や政治家はアキバ発の諸々を、アミューズメント・ビジネスにとってのコンテンツや、外交の手段と考え、カルチャーとはとらえていない。
欧米のカルチャーと違って日本の文化には規制が少ないから、海外の若者は日本の文化にあこがれる